No.70 保育士における補助金制度
自治体などから認可された保育園(無認可からの昇格や新規参入など)が増加している反面、保育士といった人的リソースが不足しています。政府の他、都道府県や自治体などがこの問題に対し、どのような取り組みで対応しているのでしょうか。今回は、保育士と補助金の関係について紹介しましょう。
人的資源確保のために
保育園が増加しているのに対し、保育士が足りないといった不釣り合いの減少が続いている背景の1つとしては、一般のOLと比べ給与面(人件費)が安いため長続きしたくてもそれができない状態が発生しています。
子供と接する事が大好きな方もいれば、保育の現場に興味を持った方もいるでしょうが、現実と向き合うと給料が安くて生活するとしても、家賃や光熱費などでほとんど消えて貯金などができず断念せざるを得なくなる方もいるほどです。
人的リソースをどうすれば確保できるのかといった問題に対し、国や自治体などは補助金などを準備して対応しています。支給される費用は、保育園などが一旦受け取り、そこで働く保育士に対し個々に給与の上乗せとして還元するのが使い道とされており、離職に対する解決案の1つであり、生活面の不安を解消させるために、制度面の整備を行っています。
助成金と補助金
政府などが支給される助成金や補助金は、処遇改善の政策が真っ先に挙げられますが、開始したのは2013年からであり、それ以前は一切の待遇見直しすらされていなかったため、保育士減少に歯止めをかけるべく導入されました。
保育士として勤務する地域の自治体によっては内容が異なっており、一律の金額を支給されるわけではないため、各地域によって上限金が設定されています。しかし問題も発生しており、補助金や助成金を受け取っておきながらも残業分の支払いをなくす事や、給与として反映するどころか現状維持のまま低収入の日々を余儀なくされ、別の用途に転用されるなどといった悪質なケースも見受けられるのが現状です。
保育士には欠かせない、補助金を活用した支援制度
ここでは、補助金が使われている支援するための制度について紹介しましょう。
- 1.保育士就職準備金貸付
- 最初は保育士を目指す就職準備金貸付で、保育士の資格を持っておきながらも別の仕事に従事していたものの、退職後の再就職先の1つで保育士を選ぶ方はいます。新たな勤務先の保育園から遠い場合は引っ越しもしくは通勤に必要な費用確保の他、少し遠い場合は自転車や自家用車の購入を検討している方が多くいます。
これらを解消する費用は実情として用意できない理由として、就職したくてもそれを見合わせる方が多いため、保育士への再就職に欠かせない準備金の貸付制度が利用可能です。この上限は20万〜40万円で貸付となり、1回限りの貸付で利息は無しです。勤務時間は週20時間で離職後1年(もしくは勤務経験なし)の登録及び保育士試験合格から1年経過した方に適用され、2年以上経過して勤務に従事する場合は返還免除となるといった条件があります。
- 2.キャリアアップ補助
- もう1つは保育士の向上に関する制度で、人材確保及び保育の品質向上を目的とした支援制度です。保育士としてある程度の経験を積んだのちに副主任や主任などの各種役職を志す方に欠かせない研修などを行う場合に必要なのが費用です。
- 3.保育士宿舎借り上げ支援事業
- 最後は、職員のための宿舎を借り上げる方法があり、平たく言えば家賃補助です。保育園側がマンションやアパートの1室を社宅目的で借用し、勤務している保育士を入居して通勤を行い、定着と離職防止のために住む場所における負担を減らしましょうといった用途で支援しています。
補助額に関しては自治体ごとに異なるものの、国や都道府県の場合は4分の3相当の金額、自治体の場合は8分の1、そして保育事業者については約1万円が支給されます。その他、支援制度に関しては各都道府県の主要都市で実施されています。