No.18 保育士が少ない課題には行政の支援が必要!
昨今、少子高齢化と保育士不足が課題となっている日本、子供の数は年々減少傾向にありながら、今後もこの流れは続くと考えられます。長引く不況の影響や人々の価値観・ライフスタイルの多様化などで、夫婦の共働きやシングルマザーが増え、保育の需要が増えていると言われています。
保育園に子供を預けたいと考える親が多数いる中で、保育士の数は不足しています。今回は保育士の少ない原因や理由について調べていきましょう。
保育士とは
保育所や児童養護施設などの施設で保育にあたる男女の職員を言い、児童福祉法に定められた厚生労働大臣の指定する養成学校を卒業するか、保育士試験に合格して国家資格を所持する者を言います。
◎歴史と定義
1948年制定の児童福祉法施行令13条では、保育に従事する女子が保母と規定されていましたが、1977年の改正で「男子にも準用する」ことになり、男性は保父とされていましたが、1998年の改正で1999年から男女とも保育士の名称が用いられることになりました。
2001年の児童福祉法改正により保育士資格が法定化され、保育士として働くためには保育士証の交付を受けて、都道府県に保育士登録を義務付けることが必要になりました。
保育士の必要性
保育士不足や待機児童問題は、厚生労働省や各自治体が環境改善や人員配置を見直して、保育士不足の解消と待機児童を減らすための保育士の働く環境改善が求められます。
日本社会の現状進行で、働き方の多様化や共働き世帯の増加、核家族化などが進むことによって、保育園で担う子育てがより大きな役割を持つようになっています。
保育士の不足状況
厚生労働省の調査によると平成29年度の国内に必要な保育士の人数が約46万人、保育所で保育士の離職率を推計した結果、約38.6万人の保育士が毎年保育園や施設に就職して、年間7.4万人の保育士が不足していることになります。
◎9割の都道府県で保育士が不足している!
保育士の有効求人倍率が平成25年1月には全国平均1.74倍となり、都道府県別で約9割の保育士の求人が不足しています。
【保育士の求職の状況(全国)】
平成23年 ・・・⇒ 1.36倍
平成24年 ・・・⇒ 1.51倍
平成25年 ・・・⇒ 1.74倍
【平成25年度の保育士の新規求人倍率(都道府県別)】
北海道 ・・・⇒ 1.10倍、岩手 ・・・⇒ 1.15倍、福島 ・・・⇒ 1.46倍
京都 ・・・⇒ 1.11倍、大阪 ・・・⇒ 2.05倍、奈良 ・・・⇒ 1.08倍
広島 ・・・⇒ 1.39倍、愛媛 ・・・⇒ 1.33倍、長崎 ・・・⇒ 1.02倍
沖縄 ・・・⇒ 1.61倍
保育士不足の起きる原因と理由
保育士の人数が少ないのは、次の原因や理由です。
◎保育士資格者の半数が保育園就職を希望しない
- 保育士職種を希望する ・・・⇒ 51.5%
- 保育士職種を希望しない ・・・⇒ 48.5%
◎保育士の就職を希望しない理由
- 1位 ・・・⇒ 「責任の重さ、事故への不安」
- 2位 ・・・⇒ 「保育者との関係が難しい」
- 3位 ・・・⇒ 「教育研修体制の不満」
◎保育士の働く条件は「希望する賃金」が得られること
保育士の半数が就職をしないのは社会的なリスクを伴う原因にもありますが、働く環境や賃金に関して不満を持っています。環境改善要望アンケート結果が次の通りです。
【保育士の就職を希望しない理由】
- 「賃金が希望と合わない」・・・⇒ 約47.5%
- 「自身の健康・体力への不安」・・・⇒ 約39.1%
- 「休暇が少ない・休暇が取りにくい」・・・⇒ 約37.0%
【環境改善後の就業希望】
- 希望する・・・⇒63.6%
- 希望しない・・・⇒28.6%
- 無回答・・・⇒7.8%
- ■まとめ
-
保育士の十分な数を確保するためには、賃金要望改善だけでなく、保育士が離職後も安心して再就職で長く働くことが出来るような労働環境の整備や保育士の不足を行政と民間が力を合わせて総合的な支援を行っていく必要があります。