No.33 保育士の必須アイテムとなりつつあるマスクの種類について
感染症流行時には、感染拡大防止の一環として着用を奨励されることとなるマスク。小さなお子様を預かる保育士も、安全対策として使用することも多いかと思われます。そんなマスクについて、種類別に比較しながら、その効果について見ていきたいと思います。
マスクの役割とは
感染疾患の主な原因は病原体であるウイルスの体内侵入です。実のところマスクは、ウイルスの侵入を防止する効果が極めて薄いと言われています。各種ウイルスの大きさはおよそ直径0.01~0.1㎛であり、これは直径7~8㎛ほどの赤血球など体細胞と比較してもかなり小さいことがうかがえます。
対して一般的に市販されているマスクの穴径は5㎛ほどであり、ウイルスが難なく通り抜けてしまえるわけです。では、マスクを着用しても無意味なのかと言うと、必ずしもそうとは限りません。ウイルスが人体に入り込む経路としては主に次のようなパターンが考えられます。
まずは、空気中に漂うウイルスを取り込んでしまう空気感染。次に、咳やくしゃみ等から飛散される飛沫に混入しているウイルスが、他者の鼻や口の粘膜に取りついて侵入する飛沫感染。そして、ものを触ることによりそこに付着していたウイルスが手に移り、その手で鼻や口などに触れることでウイルスに侵入を許してしまう接触感染。これら3通りです。
そのうちの飛沫感染では、マスクを着用することにより周囲に飛び散る飛沫量を抑制し、これにより感染リスクを下げることができます。また接触感染においては、マスク着用により手で鼻や口を直接触れられなくなり、そこにウイルスが付着するのを軽減する効果があります。
つまり、マスクはウイルスを完全に遮断することは不可能であるにせよ、その使用によってある程度感染リスクを減らすことは可能と言えるわけです。
マスクの種類
一般的に普及しているマスクについて、その素材や形状から分類することができます。状況あるいは使いやすさに合わせて、自分に適したタイプを使用すると良いでしょう。素材による種類としては、使い捨てマスクとして利用される不織布マスクと、ガーゼやハンカチを加工して作られる布製マスクが挙げられます。
不織布マスクには、原料となる繊維や糸などを熱や機械によって接着させたり絡ませ合ったりしながら製造された布が用いられています。すなわち織られていない布であるがゆえに不織布というわけです。
布製マスクは、ガーゼや一般的な布素材が用いられ、使い捨ての不織布マスクが不足する状況下の代用品として用いられることが主と言えるでしょう。布製マスクに使われる布の素材にもよりますが、一般的に不織布マスクの方が、粒子の捕集性や通気性において優れています。
形状による種類としては、平型、プリーツ型、立体型が挙げられます。平型マスクは平面的な四角形をなしており、ガーゼタイプの布製マスクに多く見られます。飛沫防止や鼻・口への手の接触防止といったマスクとしての機能は備えているものの、顔に接触する縁部に隙間が生じ機密性に関しては高くないと言えるでしょう。
プリーツ型マスクは前面がひだ状をなし、会話などによる口の動きに伴ってマスクがずれるのを軽減する作用を有します。また、口とマスク表面の間に間隔を置くことができ、楽な呼吸が確保できます。
立体型マスクは人間の顔の形状に合わせたデザインとなっており、マスク縁部分と顔の接触部に隙間が生じるのを防ぐタイプとなっています。また、マスク表面と口元に空間が生じる構造となっているため、話しにくさや息苦しさが緩和されます。
- ■まとめ
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マスクには感染症を引き起こすウイルスを完全に遮断する機能はないにしろ、飛沫感染及び接触感染については感染リスクを低下させる効果が期待できることと、素材や形状によるマスクの種類について見てまいりました。
保育士の業務では、大きな声でお子様方の注意を向けさせたり、活発なお子様方の相手で大いに身体を動かしたりするものです。マスクの着用により、声を出しにくかったり息切れしやすくなったりという場面も多々あることでしょう。そのような負担を和らげるため、自分に合ったマスク選びが大切になるかと思われます。