No.58 保育士の資格を生かしてできること
共働き世帯の増加と保育所不足により、保育にまつわる仕事も多様化が進みました。児童福祉法では、「保育士の名称を用いて専門知識及び技術を持って、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と保育士の資格を定めています。保育園の保育士以外でも、保育士の資格は多くの場所で生かすことができます。一部をご紹介しましょう。
保育園事務
保育園や児童保育の運営全般に関わる仕事です。人事・経理・後方・総務等、多岐に渡るため、保育士の経験だけでなく、事務経験を生かすこともできます。
児童福祉施設
児童福祉に関する事業を行う施設で、基本的に自治体・福祉事務所・児童相談所から入所の許可を貰います。児童福祉施設は、諸事情で保護者と生活できない児童を入所させることができます。保育所も含まれますが、それ以外の施設に対する名称の場合は、「施設保育士」と呼びます。児童福祉施設にも様々な種類がありますので、ご紹介します。
- ◎母子生活支援施設
- 児童福祉法に基づき、衣食住がままならない・家庭内暴力といった母子家庭が抱える悩み・問題を、母子を受け入れ支援することで解決する施設です。基本的に食事や洗濯は利用者に一任しますが、保育士と臨床心理士が育児・母親のメンタルケア・日中の仕事・就職活動・資格取得・離婚の手続き・養育費といった、多くの悩みのサポートを行います。
- ◎障害児施設
- 障害のある児童の日常生活を保護・指導・援助を行う施設です。以前はカテゴリー別に専門の施設がありましたが、平成24年以降は一元化されました。法改正や国の支援など障害福祉に関する取り組みが少しずつ活発化しており、注目度の高い職業です。
- ◎児童厚生施設
- 児童福祉法に基づいた児童福祉施設の1つで、児童館や児童遊園が該当します。遊びの場所の提供やイベントを実施したりすることで、子供たちの健やかな育成と親御さん同士の関わり合いのような地域組織活動を支援します。
- ◎乳児院・児童養護施設
- 何らかの理由で保護者のいない乳児や児童を保護・援助する施設です。
社会問題にもなっている児童虐待などにより孤立した児童は年々増えており、自立するまでの間保護者の代わりを務めるため、多くの保育に関わるスキルを習得できます。 - ◎助産施設
- 困窮による理由で、出産できない妊婦の方に対して助産を行う施設です。助産施設でも保育士を募集しており、親御さんに変わり赤ちゃんのお世話をするのが主な仕事です。
病児保育室
小児科に併設されることが多く、疾患を抱える児童を一時的に預かり、医者や看護師に加え保育士が看護や保護を行います。病気により学校に通えない、家庭で保育できない場合に利用されます。
院内保育
病児保育室と同じく小児科に併設されることが多いです。大きな違いは子育て中の病院職員のお子さんを預かる施設で、健康なお子さんも利用しています。親御さんの勤務時間も不安定なため、夜間保育の仕事もあります。
- ■まとめ
- 保育士免許は国家資格であり、様々な職業に携わることができますので、ご自身のやりたいことを探すには、職種・仕事内容に関してしっかり情報収集を行いましょう。