No.83 ノロウイルスについて保育士が知っておきたい事
時節柄、感染症に関心を払う人は多いと思いますが、感染症は1つだけではありません。毎年のようにニュースで報道されるノロウイルスの集団感染は、保育士が最も注意しなくてはならない感染症の1つです。今回はノロウイルスについて詳しく解説します。
ノロウイルスとは?
感染性胃腸炎を引き起こす原因となる病原微生物、それがノロウイルスです。感染すると吐き気・下痢・腹痛などを引き起こします。保育園に通う乳幼児が感染した場合、重症化の危険性もあります。ノロウイルスの特徴は、わずか10個〜100個という僅かな量のウイルスが体内に入っただけでも感染してしまう感染力の強さです。
また、厄介な事にノロウイルスは、症状が治まった後も1週間〜1ヶ月程度の間は便と一緒にウイルスが排出される為、二次感染の恐れがあります。感染者の嘔吐物から感染する事もあります。
ノロウイルスに対して有効な薬やワクチンは未だ開発されていない為、特に予防に注力するべき感染症と言えます。また、ノロウイルスはアルコールで消毒することが出来ないウイルスであり、消毒に際しては次亜塩素酸ナトリウムが必要となります。このことも正しい知識が無いと適切な対処が出来ない原因と言えます。
対策は?
多くの園児が通う保育園では、トイレだけに限らず、児童たちの触れる遊具などにもウイルスが付着している可能性は常にあります。児童は食べ物を手掴みで食べる事もある為、その際、手にウイルスが付着したままだと体内に侵入してしまいます。防止するためには、トイレの後や外遊びの後、食事の前などに、しっかりと手洗いをさせる必要があります。
児童だけでなく保育士も、おむつ交換や掃除の後に忘れず手洗いをしましょう。手洗いの際には、石鹸と流水で30秒以上かけて洗う事が目安となります。児童のお手本となるよう保育士が自ら手洗いとうがいをして見せる事も大切です。手洗いとうがいの重要さを理解させ、習慣付けさせましょう。手洗いの際には手のしわの間、指の股、爪の隙間、手首もきちんと洗いましょう。
稀に、感染していても症状の出ない不顕性感染の場合もありますので、自覚症状の有無に関わらずこまめな手洗いとうがいは徹底して行いましょう。
手洗い後に使うタオルの共用は避ける事が望ましいとされています。各自にタオルやハンカチを用意させるか、使い捨てのペーパータオルを用意しましょう。歯ブラシは各自の名前を書き、まだ字が読めない児童には印を付けるなどして区別しましょう。使用後の歯ブラシは水ですすぎ、乾燥させて他の児童の歯ブラシと接触させないようにしましょう。
児童が感染した場合は?
乳幼児がノロウイルスに感染すると、嘔吐の症状を発症します。吐き気は通常、1日〜2日程度続き、その後下痢の症状を発症します。下痢の症状は3日〜1週間程で収まります。症状が治まるまでは登園を見合わせてもらい、念の為症状が回復しても医師による治癒証明書を提出してもらうと安心できます。
- ■まとめ
- 今回は身近な感染症であるノロウイルスについてお伝えしました。ノロウイルスは有効な薬が未だ開発されていない感染症です。日頃からの感染予防が重要になります。保育士も児童と一緒にこまめな手洗い、うがいを心掛けましょう。