No.63 良い声かけをして園児の心に肯定的な言葉を溜めてあげよう!
保育士の方は「教育」と「養護」を担って1人1人の園児に接していると思います。成長という言葉を中心に保育士並びに、保護者・同僚保育士・園児同士が関わっていきます。今回保育士の声かけという面からどのように園児に声をかければいいのかを考えましょう。
「言葉」の持つチカラ
ある高名な現代思想家が、人はどのような「言葉」の体系を持って生きているかが大切であると言っています。なぜならば人間は、「言葉」を使って周りの環境や人間そして世界を理解して解釈し、意味付けを行っているからです。ではその「言葉」はどのように人間に入って来るのでしょうか。同じ人間の声という言葉を通して、また書かれた文字という言葉を使って人の中に入ってきます。
- ◎肯定的な言葉と否定的な言葉
- 物事には必ず否定的な面と肯定的な面が存在します。そして、肯定的なものと否定的なものの言葉がそれぞれあります。確かに自身の周りを否定的に解釈して受け止めて、それが真実であっても、きっと1人で孤立して生きていくことになるでしょう。否定的な面の先には夢や希望そして生きていく力はありません。
あるカリスマ保育士が保育現場で1番大切してきたのは「言葉」
カリスマと評されている保育士が現場で1番に大切にしてきたものは何ですか?と問われて「言葉です」と答えられました。「言葉」が人を造るからです。また子供たちは声をかける時に具体的な言葉を伝えてイメージさせないと理解出来ないことが殆どです。
園のこんな場面を想像してみましょう。
- ◎椅子に座らずに園児たちが遊んでいたとします。そこで何と声をかけるでしょう。
- 「あっちに座るのよ」「早く座って」と声をかけてしまうことがあります。これでは理解が出来ない上に動きません。このように言い換えてみてはいかがでしょう。
「皆で集まって何か面白いことをしたいと思います。」や「順番にお椅子に座ってくれる人は誰でしょう?」「今から面白いことを話しても良いですか?」と言うと園児たちが急いで座ります。「あっち」「こっち」「そっち」「早く」は3歳位まではピンと来ないので、動けないのです。
大人は指示調になって園児たちを動かそうとしがちです。しかし、気持ちが高揚する言葉を具体的にかけられた園児たちは一瞬で嬉しそうな表情に変わります。
「気を付けて行ってらっしゃいね」と毎日家庭でも声をかけている姿を見ていれば、園児たちもそのように言うようになります。日頃から良い言葉をかける日常習慣を持つことは必要です。 - ◎園児が机の隅にあるコップの水をこぼした場合、何と声をかけるでしょうか。
- 「何をしているの!まったく」「こぼすと思ったー」と否定的なことを言ってしまいます。こんなときは事前に声をかけましょう。もし、こぼしても過剰に反応しないことです。
そして「あれ?机の隅にコップがある。このままいったらどうなる?」と事前に声をかければ園児は、小さくても自身で考え机の真ん中にコップを移します。 - ◎食べ物をぐちゃぐちゃにする園児がいた時、どんな声をかけるか。
- 「どうしてそんなことをするの」では伝わりません。その上保育士が「遊んでくれている」と感じてしまうことさえあります。
言い換えてみます。「〇〇くん、何をしているの?」「先生は食べ物をぐちゃぐちゃにされたらとても悲しいな」と平静に言葉をかけます。園児は先生がその行為を喜んでいないことを感じています。
気を付けたい言葉かけ
おはよう→おはようございます
ありがとう→ありがとうございます
ごめん→ごめんなさい
うん→はい
じゃあね→さようなら
嫌い→苦手
言葉が短すぎると印象が良くないことがあります。お茶やコップと言うように体言止めは使用しません。「お茶を持ってきてください」や「コップをお願いします」という感じにします。
良い声かけは、日頃から綺麗な言葉、勇気や夢の持てる励ます言葉を習慣的に使う練習をすることが大切です。良い肯定的な言葉が心の中にいっぱいになるように園児に声をかけ続けて見て下さい。大人になった時、否定的な事や悲しい事が起こったとしても、その中から肯定的な何かを見つけられる人になります。
- ■まとめ
- 保育士の方の声かけという面から「カリスマ保育士」の具体例を挙げつつ、声かけや言い換える言葉を紹介しました。実践して習慣化しましょう。